富山の薬売りは放射能不安を商機とするべきではないか

富山の薬売りで有名な家庭用配置薬は衰退傾向にある。これだけ流通が発達し、医療機関が充実した現代では致し方ない面もある。かつて薬は高価だったので、常備できる家庭は少なかった。ところが現代の日本人は配置薬に頼らなくても手軽に薬を買えるようになったのだ。

配置薬は急病などもしものための時に備えるという、不安へのケアであったのではないだろうか。とするならば、原発事故や核戦争、汚い爆弾によるテロ*1などにつきものの「放射能への不安」への処方薬にもなってくれるのではないだろうか。放射能性物質への備えとして安定ヨウ素剤配置薬セットに加えるのだ。

具体的には配置薬に、安定ヨウ素剤の錠剤を数回分入れるだけなのだから難しいようには思えない。現在、安定ヨウ素剤は政府機関を主な顧客としていて、数十錠で数千円という個人に買いにくい販売形態になっている。これを小分けして各家庭に配置する。置くだけで不安を和らげ、使わなければお金を払わなくてよいという配置薬のシステムは災害対策と相性が良いと思う。もちろん子供や孫のためと思えば出費を許容する人も多いだろう。更なる災害対策として栄養剤*2や消毒液(飲み水の消毒など)などを加えてもいい。

今まで日本はリスクを認めるという作業を嫌っていた。リスクを認めればそれが僅かな確率にすぎなくても、過大に見積もってしまう人間心理*3を知っているゆえのことだろう。誠実にリスクに向き合うより、嘘をついてもリスクフリーであるかのように思わせるほうが得だったというのが現実なのではないだろうか。日本で核シェルターが建設されないのは、費用面もさることながら*4、核戦争のリスクを認めることを拒否してきたように思える。

家庭用配置薬は民間の自助努力という形で、災害対策を行える妙薬になってくれるのではないだろうか。無論、財政出動の一環として、政府補助を与えるのも良いと思う。

*1:核爆弾を入手できなくともせめて放射能物質をばらまいて社会にパニックを起こそうというテロ。ダーディーボムの逐語訳である

*2:人間は水とカロリーそしてビタミン類だけで相当生きられる

*3:これは心理学の実験などで確かめられている。

*4:核シェルターの建設が義務付けられてる国でも、普通の人々は緊急時のためだけにシェルターを建設するのは負担が重い。そこで普段は車庫や物置として使う地下室を作りをシェルターとしている